和光稲門会
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「世界最大サイクロトロン見学会」を実施しました
 2011年7月10日

 
 ▲理研RIBF棟にある「超電導リングサイクロトロン

 7月10日(日曜)、和光市広沢にある独立行政法人「理化学研究所」(理研)で、和光稲門会主催による「世界最大のサイクロトロン見学会」を実施しました。同じ埼玉県校友会支部の志木稲門会、新座稲門会からも参加者があり、総勢約30人が理研を訪れました。

 当日は和光市駅前に午後1時30分に集合。ギラギラと夏の太陽が照りつけるなか、タクシーに分乗してゴー。

 
▲模型を前に、訪れた理研RIBF棟を説明する加瀬昌之・和光稲門会幹事長

 到着したのは理研RIビームファクトリー棟(RI/ラジオアイソトープ=放射性同位元素)。冷たいお茶をいただいたあと、加瀬昌之・和光稲門会幹事長の案内でサイクロトロン見学に出発。
   
 ▲入口には見たようなマークが。 ▲現場に入る前に靴に防護カバーを装着。 


 棟内地下の冷んやりとした空気のなかを進んでいくと、世界最大のサイクロトロンがその姿を現しました。でかい。加瀬幹事長がいろいろと説明をしてくれるなか、参加したみなさんはサイクロトロンをみつめながら、「何に使うのかよくわからんが、とにかくすごそうだ…」といった表情です。

 

 
   
 ▲超電導リングサイクロトロン。とにかく大きい。 ▲参加者に説明する加瀬幹事長。

 この機械、世界でただ一つの「超電導リングサイクロトロン」ということですが、どんなことに使われるのでしょうか。理研のパンフレットには、こんな解説があります。

 
▲超電導リングサイクロトロンはこんな構造になっています。

地球上のすべての物質は「原子核」からできているのだそうです。たとえば水は水の分子が集まってできていますが、その分子は水素原子と酸素原子という粒子が集まってできていて、さらにそれらの原子は、「原子核」とそれを取り巻く電子からできているということです。さらにさらに、その原子核は、陽子と中性子でできているそうです。

その原子核ですが、じつはナゾだらけの世界。原子核の寿命や重さ、大きさなどを調べるには、原子核を「壊して調べる」とのこと。原子核を壊すためには、ものすごいスピードで原子核同士をぶつけなければならず、そのスピードは光速のおよそ70%、1秒間に地球5周というスピードです。それを可能にしたのが、このRIビームファクトリー。いくつもの加速器をつないで段階的に原子核を加速し、最終加速装置である超電導リングサイクロトロンで光速の70%の速度に達するそうです。

 では、RIビームファクトリーでのこうした作業が、いったいどんなことに役立つのでしょうか。たとえば、植物や農作物の品種改良、ガン細胞だけを狙い撃ちにする放射線治療法の開発、あるいは、いま福島原発事故で放射性廃棄物などが大問題になっていますが、放射性廃棄物に含まれる寿命の長い放射性核種を短寿命に変え、短い時間で放射能をゼロに近づける技術の研究などが進められているということです。


   
▲超電導リングサイクロトロンを見学する参加者のみなさん。 ▲模型を使って原子核について解説する加瀬幹事長(後ろ姿)。 


 見学終了後、ブロックでつくった「核図表」の模型を前に、加瀬幹事長と参加者とが質疑応答。話題は、いま大きな問題となっている福島第一原発事故や放射能汚染にもおよび、「原発事故は今後どうなるのか」「いま福島はどんな状況にあるのか」などの質問もあり、サイクロトロンが参加者の好奇心をいっそう刺激したようでした。

 
 ▲超電導リングサイクロトロンの前で記念撮影

                            【文:背黒文宏/政経90年卒】


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