和光稲門会
会員コラム


 和光市の現状とこれから
松本武洋(92年法卒/和光市長)



 みなさん、こんにちは。和光市長の松本武洋でございます。

 本日は、和光市の市政についてお話しさせていただきます。

 最初に、和光市の財政状況についてですが、お配りした資料1資料2は、和光市の2009年度の普通会計決算における各種指標の一覧です。

 各種の指標をみると、和光市の全体的な財政状況は、和光市と規模や産業分布が似ている市(類似団体)と比較すると、借金はしているけれどもそんなに重たい借金ではない、収入(税収)を得る力は比較的強い、ということが言えると思います。全国の類似団体との比較では、借金の返済は平均レベルより少なく、借金の残高は平均レベルであるといえます。

 他方、和光市の職員数(人口千人あたり職員数)ですが、類似団体や全国の市町村の平均に比べて非常に少なく、少数体制でやっております。人件費も35億7千万円(2009年度)から33億円(2011年度予算)に圧縮しております。これは職員数の削減と各種手当のカットなどによるものです。

 次に、私が市長就任以来、どんなことに取り組んできたか、その概要についてお話しします。

 一つは「過去の総決算」、つまりは既存事業の見直しです。具体的には、「大規模事業検証会議」を設置してハコモノ事業の見直しを行ったり、事業仕分けを実施したり、各種料金体系の見直しなどを行ってきました。10年からものによっては20年以上、料金改定の検討すらしていないものがあるんですね。下水道料金や保育園の保育料はすでに改定を実施しました。赤字が続いている国民健康保険はいったん議会で1票差で否決されましたが、再度検討しており、学童保育も今後見直しを行う予定です。

 私としては、料金体系の定期的な見直しについて条例化できないかと考えております(健全財政条例)。「○○年に一度、必ず料金体系見直しの必要性について検討する」と条例に明文化することで、次にどんな人が市長になろうとも、否応なく料金見直しの検討を義務づけるので、赤字(あるいは黒字)を野放しにできなくなります。この条例が実現すれば、全国でも珍しい取り組みとなります。

 取り組んできたことの二つ目は「行政の可視化と市民主義の推進」です。そもそも私が政治家をめざしたのも、もっと自治体財政を透明かつ効率的に運営したいと思ったのがきっかけです。

 具体的には、まず、事業は計画に載せてから実施することを原則とした「計画行政」の徹底。それから予算編成過程の公開。どの部局の誰がどういう予算を要求し、誰がそれをカットしたか、わかるようにしました。また、補正予算への詳しい予算説明資料を添付するようにしました。内容や算定根拠を誰にでも分かりやすくするためです。

 それから、今年10月から新しい住民投票制度が実施されます。従来は、住民が住民投票の実施を求めて一定数の署名を集めても、市議会がそれを否決すると住民投票は実施できなかったのですが、これからは有権者の6分の1(約1万人)の署名を集めれば、市議会の議決を経ることなく、住民投票を実施できるようになります。

 取り組んできたことの三つ目は「入札改革」です。現在は、1千万円未満の委託事業の入札にも一般競争を一部導入しております。また他方では、受注金額のダンピングを防止するため、低入札価格調査制度を導入しております。

 いずれにしましても、バブルのころとはもう全然環境が違いますので、いきおい暗い話ばかりになりがちなのですが、このマイナス成長の時代に、いかにして和光市を発展・成長させるか、これが課題だろうと思います。

 和光市はとても立地条件が良く、発展性・将来性のある街です。みなさんといっしょに夢を持って、和光市を埼玉一の街にすべく、がんばりたいと思います。 

(本稿は、6月5日開催の和光稲門会定時総会での松本市長の講演要旨をまとめたものです)

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